Webエンジニアとして駆け出そうとしているあなたへ

こんにちは、CTOの山岡(@hiro_y)です。

私はいくつかの会社でWebエンジニアの採用に携わっています。そうすると、否が応でも「駆け出しエンジニア」の方々を目にすることになるのです。採用媒体によって違いはありますが、多いと半分ぐらい「駆け出し」の方々なのでは…という媒体もあったりします。

人によってWebエンジニアになりたいと思う動機は様々です。純粋にエンジニアリングが楽しい人もいるし、もっと作るもの、プロダクトに関心がある人もいるし。その中に、どうやら稼げるらしいから、という理由があったとしてもよいと思います。会社に縛られないフリーランスになりたいからとか、リモートワークしたいからとか。動機は何であれ、Webエンジニアになりたい人が増えたのは単純にうれしいことです。

私がWebエンジニアになって20年近く経ちますが、今はすっかり便利になりました。主要なWebアプリケーションフレームワークには大抵雛形が用意されていて、付属するコマンドを実行すればデータベースを読み書きして表示するようなWebシステムを簡単に作れます。

学習の「高速道路」という言葉の初出は2006年の梅田望夫さんの『ウェブ進化論』で将棋の羽生善治さんが語られていた部分でしょうか。将棋で言えば定跡、Webシステムで言えば「どんなシステムでも必要になるいつものやつ」の情報は簡単に得られ、学べるようになりました。そこに至るにあたって、Webについての基本的な知識すら必要ないかもしれません。例えばHTTPのステータスコードの意味や、セッションとは何か?といった話題に詳しくなくてもそこまでは至れます、作れます。

しかし、Webエンジニアとして、プロフェッショナルとして求められる仕事はそこにはありません。自動生成で簡単にできる部分は、誰がやっても同じです。求められているのは、その高速道路を下りた先、自動化できない部分です(AIが進化すればWebエンジニアは不要になると言われて随分経つと思いますが、今のところそのようになっていません…今はまだ)。数学で言えば、公式や定理は既にあきらかです。それを使ったり組み合わせたりして、個別の課題を解いていくのが仕事です。

だから「ポートフォリオ」と称する自動生成できる雛形に少し手を加えた程度のWebシステムを見させられても、正直なところ困惑してしまいます。その候補者の方が実際に何ができるのか、全然わからないから。採用する側として知りたいのは、その先に進めるかどうかです。もちろん、その人自身の力で。いわゆる日本的な「新卒一括採用」の文化であれば手厚い研修の仕組みが用意されていることもあるでしょう。でも中途採用の場合、多くはある程度自走できる人材が求められます。自走できることを証明できなければいけません。

最近、技術的なメンターサービスが流行しているようです。わからない部分を相談できる相手がいるのは、とても安心できると思います。先日、ちらほら見ていたら「ポートフォリオ」の作成をサポートしてほしいという依頼を見かけました。その場合、その人の「ポートフォリオ」は独力で作られたものではないということになります。それで本当にWebエンジニアを職業としてやっていけるのか、私には疑問です。

Webエンジニアに限りませんが、一度就職できたからといってその先学習が不要になることはありません。特にWebの世界は変化が激しいので、常に学習を無理なく続けていける能力が求められます。

例えば、「ポートフォリオ」を作るにしても、あなたが感じている課題を解決するために作るというのはどうでしょう。そうすれば、作って終わりにはならないはず。実際に使ってみて直したい部分が出てきたり、新しい機能がほしくなったり、継続して開発したくなるのではないでしょうか。一通り作ってそのままになっている「ポートフォリオ」を見せられても、何も伝わりません。自動生成や書籍やWebに載っていないような、自分で考えたコードを書く経験をしてください。そしてそれを、見せてください。どの辺にこだわって作ったのか、どの辺に苦労したのか。そういう話を、採用面談や面接で楽しくできるとうれしいです。